HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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過去の非常識は、未来の常識だ! 『2035年の世界』

人類は今まで体験したことのない「大きな変化」に直面する。その最たる変化が、「死ななくなる」かもしれないということだ。医学の発展により人類は、信じられないほど長寿になる。80歳の美魔女や90歳の現役スポーツ選手が現れてもおかしくない。これから20年の間に、今の私たちには想像ができない世界が待っている。

著者である高城剛さんは、クリエイターや執筆家、DJなどの仕事をしながら世界を放浪し、行く先々で最先端の研究機関に出向き、そこで出会った研究者や学者と対談している。そしてその会話の中で気づきを得た未来のキーワードを「身体科学」「科学」「移動」「スタイル」「リスク」「政治」「経済」「環境」の8つのセクションに分け100項目にまとめたものが本書である。科学書ともノンフィクションとも違う、私的で妄想の混じった2035年の未来予想が、熱く展開されている。

私が驚いた未来予想の一つを紹介しよう。

 

MEMS技術の発達によって脳にナノマシーンが埋め込まれ、
見聞きした情報やそれによって生じた脳の反応がログとして残る時代になる。
ウソをついても脳 ログという証拠が残るため、 浮気や犯罪などの隠しごとは一切できない。
この世界から逃れるために、通信の圏外で暮らす人も増えるだろう

高城 剛. 2035年の世界 (Kindle の位置No.348-351). . Kindle 版.

 

MEMSとは、機械や電子回路、センサーなどを集積した極小のデバイスのことだ。これを小型化・高度化すれば、自分の目に映っているものをデジタル処理して、映像データとしてクラウドにアップデートできるようになるのだ。

つまり、今見えているものを他者に送ることが可能になり、見たもの全てがログとして残る。そして下心は見透かされ、犯罪も含めた隠し事が一切できなくなるのだ。そんな世界がこれからの近い将来に迫っている。そう、人類は今まで体験したことのない「大きな変化」を体験する。

ここだけの話、本書を読むことは、他者との差を広げる良いチャンスになるはずだ。なぜなら私たちは、著者の脳内を覗き見することで、近い将来起きるであろう「変化」を知ることができた。

これはとてもラッキーである。
変化を楽しめる人生を歩もう。 

2035年の世界

2035年の世界

 

 

新ジャンル!ロリータハードボイルド『ノケモノと花嫁』原作 幾原 邦彦 漫画 中村 明日美子(インデックス・コミュニケーション)

普通の恋愛、普通の物語、普通の漫画。

そういうものに飽きたときに読みたくなるのが『ノケモノと花嫁』です。

主人公の世羅ヒツジと羽熊塚イタルを中心に子供VS大人の世界を描いた一種の社会風刺漫画となっております。
幾原邦彦監督の作品は『少女革命ウテナ』然り『ユリ熊嵐』然りとても深いメッセージが込められており、『ノケモノと花嫁』も例外ではありません。
大人によって傷つけられた子供たちが反旗を翻し大人に裁きを下すため一致団結して立ち上がる。しかし主人公の2人は己の愛を貫くため子供も大人もない真実の愛を目指す…。かなり心に響く痛々しいメッセージばかりなのですが、それを思わせないテンションと勢いで話が進んでいくのでとても読みやすくなっています。

そしてなんと言っても中村明日美子先生の美麗イラストと、きっと好きな人にはドンピシャなゴスロリの少年少女たちが動き回る姿は見逃せません。

大人に反旗を翻した子供たちと、真実の愛を求める「ノケモノ」のロリータハードボイルド物語を是非その目で確かめていただきたいです。

ちきりんさんはブログだけじゃなくてTwitterも面白いですよ 『多眼思考』 著者 ちきりん 大和書房 初版 2014/12/1

 

私はちきりんさんの大ファンだ。

出会いは就活をしていた2013年。
説明会やらなんやらで、新宿に行くことが多くなり、空いた時間でよく本屋さんにいくようになった。
そこで「社会派ブロガー ちきりんさんオススメ」というポップを見た。
「ちきりんってだれ?」って感じであったのだが、ブログを読み一気にファンに。
2013年の年末から今に至るまでのブログのエントリーは全て目を通し、ちきりんさんのブログを使って、ありとあらゆる相談を受けれると自負している。

そんな私は、ちきりんさんが好き過ぎていつの間にかTwitterの呟きも毎日検索し、全て目を通すようになった。ちきりんさんはブログだけでなく、Twitterの呟きも面白いのだ。
そんな日々を過ごしていたらちきりんさんのTwitterの呟きだけをまとめた本が出た。
それが本書だ。
(そういう意味では、私は早くからちきりんさんのTwitterの価値に気づいていたのでマーケット感覚があったといえよう)

「「忙しい忙しい」って言うと、「私は人生で何が大事か、わかっていません」と言ってるみたいな気になるから、言いたくない。」(8ページから引用)

これから始まるちきりんさんTwitterの呟きは、
生きること、働くこと、社会、少子化と高齢化と男と女、ゆるく考えよう、ビジネス、ぐろーばりぜーしょん、自立&未来への7つに大きく分類されている。

私はSEなので、
「大手のSIとかITコンサルとかに就職する人も、まずはセブンイレブンマクドナルドでバイトすべきでしょ。システムってどう使われて、何を実現するものなのか、まずそれを現場で理解すべきか。」(48ページから引用)
は正にその通りであると思うし、
「「人生はあと10年!」(と思って生きる)と決めてから、つまんないこと、ウザイこと、つらいことは何もできなくなってしまいました。ごめんよ。神様。」(165ページから引用)
とかもキャラ丸出しで好きだ。
「「将来の夢は野球選手!」という子供に加え、「将来、自分の球団を持つ!」とか、「自分で会社作って世界に広げる!」っていう夢を小学生くらいの子が卒業作文に書くようになってほしい。大人はそれが可能な夢なのだと教えてあげよう。」(195ページより引用)
とかを読むと、ハッとさせられる。

ちきりんさんだから気付く視点がこの本にあり、大変面白い。

「これから世界の問題を解決してくれるのは、「技術」と「市場」だと思ってる。」(280ページより引用)

これなんかはその通りだと思っていて、技術と市場に一生身を置いていたいという自分のキャリアの指針の一つだ。

「そんじゃーね」(285ページより引用)

声や話し方を変える!『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』 著者 魚住 りえ (東洋経済新報社 、2015/8/7)

本書では、聞きやすく、好印象をもたれる話し方ができるようになるための、簡単に実践できるコツが50にまとめられている。著者は、元日本テレビアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する魚住りえさんだ。

著者は、アナウンサー活動の傍ら、オリジナルの「話し方レッスン」を行っており、声と話し方のスキルを「魚住式メソッド」として生徒に教えているとのこと。そのレッスンでは、たった1回のレッスンで声も話し方も劇的に変わると生徒たちも驚くそうだ。

魚住式メソッドの特徴は、話す内容ではなく、声や表現方法に特化しているところであり、このメソッドの最大の利点は、トレーニングすることで、誰でも、確実に話が上手になることだと著者は言っている。

本書の構成としては、第1章で新しい声を手に入れる最速レッスンとして、腹式呼吸、共鳴、滑舌のトレーニングを解説している。続いて、第2章では理想の話し方になるため、声の高さとスピードを操る方法を、そして、第3章では話し方が劇的に上達する朗読トレーニングについて、第4章は話し方、聞き方のテクニックを解説している。

今回は、第1章「まったく「新しい声」は簡単に手に入る」から、声が聞きやすくなり、相手への伝わり方が大きく変わる「共鳴」について紹介しよう。

人差し指と中指を鼻先に軽く触れて、口を閉じたままで「ムー」とハミングする。様々な高さの音を試すと、鼻先に触れた指先が細かく振動する。この振動が「共鳴」だ。そして、これこそが自分にピッタリの、相手が聞き取りやすい高さの音なのだ。

これは実際に私もやってみたが、確かに指先が振動する声の高さがある。いつもの自分の声よりは、少し高めに感じる声だ。家族相手にその声で話してみたが、大きな声を出さなくても、相手に伝わるだろうなということは実感できた。

さらに本書では「共鳴」に関して、自分自身の「一番いい低い声」や「一番いい高い声」の見つけ方が紹介されており、状況によって低い声と高い声を使い分けるというのも、とても興味深い。

実はこの本は2015年12月に購入(Kindle 版)したものだが、今回、本書を読み直したのは、ある会合で「あなたの声はまったく聞こえない」と言われたことがきっかけだった。確かに思い出してみると、私がお店で何か注文をするとき、「え?」と聞き返されることが多かったように思う。

このあたり、私と同じように聞き返されるといった経験がある方は多いのではないかと思う。というのも、お店で注文する場合、静かな場所というのはほとんどなく、音楽が流れていたり、他人の話し声がしたり場所がほとんどだからだ。

しかし、そういった場所でもしっかりと相手に伝わる声や話し方の持ち主はいるのだ。相手が聞き取れる、聞き取れないの違いは、何だろうか。興味がある方は、実際に本書を手にとってみて欲しい。

というわけで、本書は、自分の一番聞き取りやすい声を知りたい方や、私と同じように相手に聞き返されることが多い方、そして、日常会話のテクニックを知りたい方におすすめである。また、自分の声が相手にどう聞こえているか、相手がどう感じているかと気になる方にも、ぜひ手にとってほしい一冊である。

 

ビジネスニュースが面白くなる『会社四季報 業界地図 2017年度版』 (東洋経済新聞社、初版 2016/9/8)

四季報についてどのようなイメージをお持ちだろうか。
白黒の分厚い電話帳みたいな本で就活生がよく買っている本(そしてほとんど読まない)といった具合だろうか。

この本はそうではない。オールカラーの300ページ弱の本で、業界毎にまとまっている大変わかりやすい本なのである。

どんなにビジネスについて詳しくても案外自分が身をおいている業界以外はよく知らないものだ。
以下の質問について答えられるだろうか。
1、5大商社とはどこか?
2、自動車業界の提携の関係は?
3、ピジョンってなんの会社?
4、鉄鋼業界は今上向き?下向き?
5、世界トップの広告会社はどこ?

これらの疑問に見開きですぐわかるページ構成となっている。

そしてなんと言ってもマニアックな記載があり大変面白い。東京オリンピックに関係する企業の一覧があれば、宗教団体の一覧もあり、クラウド業界の国内シェアのランキングもある。

これを家において日々のビジネスニュースを見るとまた面白さが変わってくるだろう。

もっともよいイノベーションの本はこれだ! 『C.クリステンセン経営論』 (著者 クレイトン M.クリステンセン) (ダイヤモンド社、初版2013/7/4)

経営学という学問は、組織論と戦略論に分かれ、かつ戦略論は競争戦略論とイノベーション論に分かれると理解している。

本書はイノベーション論の一大理論の「イノベーションのジレンマ」の提唱者である、クレイトン M.クリステンセン教授の論文集である。
イノベーション論を学びたいなら、この本を読むのがもっともよいと断言できる。

その理由は内容の充実度である。全15章にわたる本書では、1993年に提唱されたイノベーションのジレンマについての論文(第1章)から始まり、

イノベーションのジレンマへの対応策(第3章)、

医療ビジネスにイノベーションのジレンマ理論を適用(第4章)、

経営理論についての考察(第6章)、

マーケット分析について考察(第7章)、

財務分析とイノベーションの関係(第10章)、イノベーティブになる方法(第12章)、

プロフェッショナルなキャリアを築く方法(第13章)と記載されている。

特に、第13章に掲載されている論文は至極だ。どうしたら幸せなキャリアをしっかり歩めるかかについて考察を与え、どうしたら幸せな家庭を築けるかを教えてくれる。
そして最後にどうしたら成功と言える人生を歩むことができるか教えてくれる。

 

C. クリステンセン 経営論――ハーバード・ビジネス・レビュー・アンソロジー

C. クリステンセン 経営論――ハーバード・ビジネス・レビュー・アンソロジー

 

 

プログラミングとはデータモデルを理解することである 『データモデリング入門』 著者 渡辺 幸三 (日本実業出版社、初版2001/07/01)

 

昨今、プログラミング教育やプログラミング学習が流行っている。私事だが、私はシステムエンジニアなので「プログラミングってどうやったら勉強することができるのか?」と聞かれることも多い。勉強の仕方はある程度はわかるが、「プログラミングができてどうするのか?」何か作りたいサービスでもあるのかと不思議に思う。

もし、優秀なシステムエンジニアプログラマーの思考を身に付けてたいと思っている、もしくは少しでもシステムのことを理解したいと思っているのであればこの本を読んでほしい。

プログラミングとはデータモデルをつくることである。

一般には、この言葉に尽きると考えているからだ。

本書は、第1部「データモデルとは何か」と第2部「業務別データモデル用例集」の2つにわかれている。
第1部を読めば、システムエンジニアプログラマーがどのように思考しているのかわかる。彼らは全てデータとデータの関連性を考えているのである。

また、第2部では、業務別にデータモデルの用例が記載されており、今あなたが使っているシステムがなぜ使いづらいかわかる。
その使いづらさは大体がデータモデルがうまくできていないからである。

最後に、大企業のシステム部門にいながらこの程度のことも理解できていないような方は自らの会社に無駄なコストを増やしている。読んで勉強してほしい。

『ゲームシナリオのためのSF辞典』著者 クロノスケープ(SBクリエイティブ、2011/4/6)

テラフォーミング」「タイムパラドックス」「動物の知性化」「超光速航行」「コールドスリープ」、「サイバネティクス」「VR」「軌道エレベーター」「ウォーターフロント」「パラレルワールド」「スペースデブリ」「ポスト・アポカリプス」。

ワクワクしませんか?。未来を感じませんか?。ロボットにワクワクした子供の頃を思い出しませんか?。この本はSFシナリオのための辞典であり、上記などの言葉が1項目につき2ページでの説明がなされている。

SFとはご存知サイエンスフィクションの略であり、科学の面白さを取り入れた物語のことを示す。本書では大きくトピックスを「科学技術」「巨大構造物」「生命」「世界・環境」「宇宙」「テーマ」に分類し、ワクワクする言葉を現段階の科学の成果、SFでの取り扱い、物語創作の指針などの観点からまとめている。中には「クローン」「AI」「VR」など現実になりつつあることも多くある。

ところで、『ゲームシナリオのための○○』シリーズは他にも『ファンタジー辞典』『戦闘・戦略辞典』『ミステリ辞典』『ミリタリー辞典』『ファンタジー辞典』『クトゥルー神話辞典』『戦国辞典』などがある。これらの本はどれも面白く、またこのような辞典はいわゆるトイレ本と呼ばれている。本好きは部屋の至るところに本を置くがトイレにも本棚があったりする。そこで1項目2ページでまとまっている本書はトイレで読むのにちょうどいいというわけだ。

たまにはSF辞典を読んで子供時代のワクワクを振り返り、未来について空想してみるのはいかがだろうか。

かわいらしい絵で戦争を描くということ 『こおりの掌 シベリア抑留記』著者 おざわゆき(講談社)

「親が生きているうちに戦争の話を聞きたかった」

これはきっと誰もが願うことだろう。ただそれが少し違うのは、彼女が漫画家であったことだ。

1942年、当時19歳のおざわの父は満州へ出征。その後ソ連軍の捕虜となり酷寒な環境下のシベリアで奴隷的な強制労働、帰還する1949年までその地で過ごした。ソ連兵からの暴力や略奪、日本人同士による諍い、『ふるさと』を歌いながらながら亡くなっていった仲間…。
おざわが現在の父にインタビューするところから物語は始まる。

私がこの作品を初めて目にしたのは2012年の文化庁メディア芸術祭の展示だった。戦争という題材に対し、絵は子どもが描いたのような単純な線での構成で驚いた。戦争漫画というと代表に『はだしのゲン』があり、どうしてもグロテスクな絵が印象に残る。だがおざわは人がパッと嫌悪感を覚えるような描き込みを排除し、手に取りやすくより物語へ入っていけるようにした。しかしデフォルメで描かれた人物が絶命する様は、愛らしいぬいぐるみがズタズタにされるような、ある種の残酷さを持って私たちに入り込んでくる。シンプルな絵柄という点では、今日マチ子ひめゆり学徒隊から着想を得た漫画『cocoon』にも通じる。

そしてこの漫画ははじめ同人誌として発表された。編集者が介在していないこともあり、物語にはっきりとした起承転結がない。読み進めていくと今どの段階にいるのかが分からず正直いらだつ。だがこの作品はその構成こそが特筆する点であり、素晴らしい効果を得ている。
生活というのは、今日は安全でも明日突然ひっくり返ることがある。
この起承転結の無さこそが、次に何が起こるか分からない不安定な人生の面白さを表現している。

おざわゆきは『こおりの掌』で父親シベリア抑留体験を漫画化したが、その後母親の戦争体験を描いた『あとかたの街』という作品も発表している。こちらの作品は商業誌で発表しているため絵柄も異なるが、これを機に合わせて読むことを勧める。

ととのったあああ唯一無二のサウナ『マンガ サ道』著者 タナカ カツキ(モーニングKC、2016/1/22)

今回紹介するのは、唯一無二の『マンガ サ道』。茶道でなくサ道。サウナの楽しみ方を描いたマンガだ。皆さんサウナは入ったことはありますか?。サウナについてどんなイメージを持ってますか?。「苦行」、「暑いだけやん」とか思っていませんか?。それは、サウナの正しい入り方を理解していないからです。なぜ、水風呂があるのでしょうか。なぜ、寝転がるための椅子が置いてあるのでしょうか。全てはサウナを楽しむためなのです。

さて、サウナの楽しみ方を簡潔に紹介しよう。
①サウナに入る
②水風呂に入る
③①〜②を繰り返す。
④椅子で寝転がる

すると、じ〜んと身体が痺れてくる。ディープリラックス状態へ。血液が身体中へと巡り、脳に酸素が行き渡る。快感物質の分泌からの多幸感。サウナトランス状態へ。

「ととのったあああああああ」

これがサウナの正しい使い方です。

本書ではまた、サウナいろんな種類。オススメのサウナ。そして、サウナの真理について書かれてある。私は読んだあとすぐにサウナへ直行してしまった。裸一貫で楽しめる幸福を是非皆様にも味わっていただきたい。

https://goo.gl/gsDnL6