HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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あの感動をもう一度『魁!!男塾』作者 宮下あきら(ジャンプ・コミックス、週間少年ジャンプにて1985年22号より連載開始)

私は2005年の受験期に予備校の本棚で本作品と出会った。本作品で学んだとこは2つ、“諦めなければ夢は叶う”こと、もう一つが“例えようのない理不尽は存在する”ことだ。

剣桃太郎の直進行軍や冨樫の油風呂の覚悟には、高校生ながら胸が熱くなった。受験勉強も忘れて天兆五輪大武會編まで読みふけってしまったことも記憶に新しい。理不尽を感じたことは敵役の所業によるところではない、話が進むにつれ初期設定とストーリーの辻褄が合わなくなってくるのだ。敵を倒すために片腕を失ったはずの羅刹が、後半味方と両腕でガッチリとスクラムを組んでいたことの衝撃は今でも忘れられない。

ご家族や親戚に高校生以下の男の子がいる方は、第1巻をぜひ誕生日プレゼントの候補に加えてほしい。将来日本を動かすくらいのことはしてくれるはずだ。

言葉を通してみえる軌跡。『戦場と孤独のフードビジネスを生き抜く』著者 園山 真希絵(クロスメディア・パブリッシング、2015/10/15)

向き合う業界を“戦場”、向き合うことで置かれる状態を“孤独”としている、本書からは著者の言葉を通した覚悟が伝わってくる。消費者側からは華やかな側面の想像には硬くない業界だが、現実にはその想像は断片であることがわかる。著者の人生は再起の連続だ。

屋号を持つということは、同時に様々な問題が噴き出す。本書で特に重点を置いて語られているのは“人”という要素だ。お客様、スタッフ、そして自身。コントロールという手段では到底触れることができない要素で、唯一気持ちを伝えることができるものは、姿勢と習慣だ。著者はその根本を“感謝”としている。

本書を拝読しているうちに気づいたことが一つ、“言葉”の使い方をとても大事にされている。活字にしても抽象度が高いままであることは日本語の特性だろうか。いかようにも受け取られてしまうからこそ、子どものように大切にし且つ育てているようにも感じた。

気持ちは伝わらないことが常だ。その上で彼女に対して共感が生まれている人がいれば、その間には感謝と言葉が凛として立っているはずだ。

エヴァンゲリオン第0話第一使徒『シン・ゴジラを100倍ディープに観る』著者 岡田斗司夫((株)ビンワード、2017/4/11)

本書はガイナックスの創業者でオタキングとして、知られる岡田斗司夫が『シン・ゴジラ』の深層構造についてえぐり出したものである。

これまで、実写版映画はスベりにスベりまくっていた。しかし、『シン・ゴジラ』は大ヒットを記録した。その秘密は何なのか。
岡田斗司夫はこの作品は『エヴァンゲリオン』第0話だという。そして『シン・ゴジラ』は第一使徒であると。『シン・ゴジラ』前後で日本の映画業界はどうなるのか。

 

本書の内容は岡田斗司夫が『シン・ゴジラ』視聴後ニコ生で放送を行なったもを書き起こし、またDVD視聴後のコメントを追記したものである。ところで、岡田斗司夫とは冒頭で述べたように、アニメ製作会社ガイナックスを創業し、オタキングと知られ、立教大学マサチューセッツ工科大学講師、大阪芸大客員教授などを歴任。また『レコーディングダイエット』を提唱したり、さらに本ブログの書評メンバーが所属する通称堀江貴文イノベーション大学校(HIU)は岡田斗司夫サロンを参考に作られた。

とにかくこの本は『シン・ゴジラ』を見たことがある人は最後までワクワクがとまらない。何故、役者はあんなに早口なのか。何故こんなに会議シーンがかっこいいのか。『シン・ゴジラ』と核爆弾の関係とは。そして庵野秀明はこの作品で何を表現したかったのか。短い書評では書ききれない。amazon unlimitedで読めるので是非皆様読んでいただき、記事のシェアをお願いいたします。

 

 https://goo.gl/Zl9vkm

マンガ大賞2017大賞作品『響〜小説家になる方法〜』作者:柳本 光晴(小学館、2015/2/27)

「漫画家漫画」は外れない。これは漫画においてよく言われる。一方今回紹介する作品は「純文学小説家漫画」である。高校に入学したばかりの主人公の鮎喰響(あくいひびき)は、本が好きで自分の考えを理解してくれる人を探すため、高校の文学部に入部する。また、彼女は入学までに書き上げた小説を文芸誌「木蓮」の新人賞に応募していた。彼女の作品は新人賞担当者の目にとまり芥川との比較をもされるほどの才能を持つ。しかし、彼女は応募要項を読まずに投稿し連絡先すら書いていない。その才能は生かされることになるのだろうか。

本作品で描かれるのは「圧倒的才能」、「圧倒的天才」。人は「圧倒的才能」を目の当たりにした時どのような感情に襲われるのか。「圧倒的天才」鮎喰響はどんなやつなのか。とにかくカワイイ!、カッコいい!、キチ○イ!、それがいい!。

本作品は、純文学が好き、本が好き、小説を書いていた人はもちろん。『ヒカルの碁』は囲碁が分からない人が読んでも面白いように、本作品も「芥川って誰?」って人が読んでも非常に面白く読むことができます。これを気に純文学作品を読む人が増えれば良いなぁと思います。

自分が成長するための読書 『ACTION READING』 著者 赤羽 雄二 (SBクリエイティブ、2016/5/25)

本書は、「受け身」から「攻め」の読書スタイルに変えることで、「読んだこと」を、仕事や生活など、今後の自分の成長に活かし、さらには行動に移すことができるようになるための本である。著者は、マッキンゼー出身で、『ゼロ秒思考』の著者、赤羽雄二氏である。

忙しくて本を読む時間がないという方はたくさんいると思うが、忙しくて時間がないから読書は後回しにしようと考える、つまり、読書の優先順位が低いのが「受け身」である。

一方、忙しくても限られた時間のなかで本を読み、さらには最大の効果を上げるため、自分の成長に活かすにはどうしたら良いのかと考える、つまり、読書の優先順位が高いのが「攻め」の読書スタイルとなる。

読書に対して「受け身」でいると、どうなるだろうか。

これは、私も経験があるが、本書で著者が言っているように、一度読書が役に立たないと思えば、本を読むことから遠ざかるという、負のスパイラルに陥ってしまうのである。私の場合は、半年間一冊の本も読まないという時期があった。

その半年間、私に必要な本はあったはずなのだが、読書よりも忙しさ、仕事を優先してしまった。どうにかして時間を作って本を読むべきだったと、今でも後悔している。その間、読書を通じ自分の成長に活かすということが、まったくできなかったのだ。

では、「攻め」の読書では、自分の成長のために読書をどう活かすのか?

本書の特徴の一つとして、チャレンジシートというものがある。これは、どういった発見があったか、自分の行動をどう変えるのかなどを1枚のシートに記入していくものだ。このチャレンジシートに記入することで、今まで行動に結びつかなかった読書が、自分が成長するためのきっかけになるのだ。著者が言うには、“趣味や受け身の読書ではなく、成長するための手段であり、成長するためのステップになる”のである。

このチャレンジシートを作成することにより、アクション、行動につなげ、自らの成長に活かすのだ。さらには、自分が何を目的にこの本を読んでいるのかということがハッキリするので、何も考えずに読むよりも1冊の本から得るものは大きい。

というわけで、忙しいなかでも本を読みたいという方、読書を自分の成長に活かしたいという方、さらには読書で得たものを行動につなげたいという方には必須の一冊になるだろう。

 

アクション リーディング 1日30分でも自分を変える
 

 

英語を英語で理解する 『超英語思考トレーニング』 著者 イムラン・スィディキ(明日香出版社、2016/12/23)

本書は、英語を考えるときに誰もが経験する、一度日本語で考えてしまうという英語学習の最も根本的な問題について、「英語を英語で理解」できるようになるためのトレーニング本だ。著者は、他にも多くの英語学習本を出しているイムラン・スィディキ氏で、個人的には、スタディサプリ English でもお世話になっている。

著者によると、本書の効果としては、「英語を英語で理解する」のにかかる時間が、相当短縮できるとのことだ。英語をマスターするのに必要な時間は1000時間と言われているが、本書で紹介されているエクササイズを繰り返すことで、1/10程度の時間と労力で、つまり100時間程度で1000時間並みの実力がつくと著者は言っている。

その本書の構成だが、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの順となっている。

私が今まで考えていた順番だと、リスニング、もしくはスピーキングから始めると良いのかと思っていた。というのも、英語を格好よく話している自分の姿を想像したら、リスニング、スピーキングから始めようと思うのは私だけではないはずだ。

しかし、著者によると、リスニングは、➀聞き取りながら、②意味も考える、という2つの慣れない作業を頭の中で同時に行うことになる。それよりも、まずは意味を考えるだけのリーディングから始めたほうが良いとのことだ。

確かに2つのことをやるよりも、まずは1つに絞ったほうが覚えも早そうだ。

さらに本書には、リスニング・トレーニング用のCDが付属している。そして、なんとこのCD、著者のイムラン・スィディキ氏自らが吹き込んだCDなのである。これは著者のファンにとっては堪らないCDになるだろう。

というわけで、ファンでCD目当ての方にはもちろん購入をおすすめするが、英語学習者の方で、どうしても一度日本語で考えてしまうという悩みを持っている方や、英語思考になるために、無駄なく最短経路を進みたい方などに、本書はおすすめの一冊である。

リアルさが怖い『嗤う名医』 著者 久坂部 羊(集英社、2014/2/26)

本書には2009年から2013年にかけて、「小説すばる」に掲載された著者の短編小説6作品が収録されている。

そしてこれらの作品には、すべてに医者が登場する。もちろん医者はすべて架空の人物だが、この本、読んでいる途中で何度も「もしかしたら実話じゃないの?」と思ってしまうほどリアルさが伝わってくる。

なぜこんなに実話だと思わせるような作品ばかりなのか?というと、実は著者自身が医者なのである。

だから手術の場面はもちろんのこと、業界の内部事情や患者とのやり取りの場面がとてもリアルなのだ。今回はそういった作品の中から、少しくらいの症状なら病院に行くのを我慢しようかな・・・と思ってしまった「名医の微笑」を紹介したい。

この本に収録されているそれぞれの作品は、ブラックユーモア的な面白さがあるのだが、この「名医の微笑」はさらにエログロがプラスされている。

だからそういった話が苦手なら、この作品だけは読まないで飛ばしたほうがよい。

中でも、特異な性癖を持つ医師の矢崎が通う会員制クラブの場面。そこで行われているショーやその後の個室での行為がヤバい。

もともと矢崎の日常生活は我慢だらけの生活だ。患者に対しても、家族に対しても我慢。実際にそういう医者も多いのではないだろうか。

それがきっかけなのかは分からないが、矢崎自身は勃たないようになってしまっている。それが会員制クラブの個室である行為に目覚めてしまい、勃つようになるのだ。

しかしである、本当に申し訳ないのだが、紹介すると言っておきながら、ここに書くことを躊躇してしまうような表現が多い。だからここは実際に、本書を手に取ってみてほしい。

そんな作品を読んだからなのか、ふと私のかかりつけの医者の顔が頭に浮かんだ。彼もそういう趣味だったらどうしようかと。

いやいや、他人の趣味がどうだろうと良いだろう。迷惑をかけているわけでもあるまいし。

でも・・・少しくらいの風邪なら行くのを控えようか。

といったわけで、本書は最初にも書いたように、それぞれの作品のモデルが実在していて、ほんとは実話じゃないの?と思ってしまうほど、リアルな作品が楽しめる一冊だ。医療小説が好きな方はもちろん、ブラックユーモア的な作品が好きな方もおすすめである。

 

 

嗤う名医 (集英社文庫)

嗤う名医 (集英社文庫)

 
嗤う名医

嗤う名医

 

 

怒りをコントロールする 『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』 著者 安藤 俊介(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016/9/10)

怒ることが問題なのではない!問題は、怒りをコントロールできないことだ。

本書は、自分に関係する人々に悪影響を与える自分の「怒りの癖」について、6つの怒りタイプ別に、性格の特徴、怒り方の癖、改善トレーニング方法、上手なつきあい方など「怒り」をコントロールできるようにするための本である。著者は、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏だ。

アンガーマネジメントは、怒らなくなることが目的ではなく、目指すところは、怒る必要のあることは上手に怒れるようになる一方で、怒る必要のないことは怒らなくてすむようになることである。

そして、アンガーマネジメントを実践することで、次のようなメリットがある。

・上司、同僚、部下と良好な人間関係が築ける
・集中力が高まり、仕事のパフォーマンスが上がる
・考え方、生き方がポジティブになる
・家庭や友人関係でも、もめごとがなくなる

ところで、私がアンガーマネジメントについて興味を持ったのは、ハラスメント対策セミナーに出席したときに配布された資料のなかに、アンガーマネジメントという文字があり、これはいったい何だろうと思ったのが初めてだった。

仕事上では怒りという感情をあまり表に出したことはなかったが、まったく怒りの感情がないというわけではなく、イライラする場面もあった。そういった怒りの感情を上手く処理できれば、さらに仕事に集中できるのではないかと以前から思っていたのだ。

本書を読むだけで、完全に怒りをコントロールできるようになるというわけではないが、本書を通じて自分の怒りの癖や改善方法が分かるようになる。そして、怒りを意識するということだけでも、その効果は抜群である。

仕事において集中力を妨げる怒りをどうにかしたいと思っている方には、ぜひ本書を手に取って、自分の怒りのタイプや癖を知り、パフォーマンスを上げるきっかけにしてほしい。また、仕事以外でも、家庭や友人関係でもめごとが多い方などにも、関係改善のために本書はおすすめの1冊である。

『禅、シンプル生活のすすめ』著者 升野俊明 (知的生きかた文庫、2009/7/10)

ちょっとだけ今の生活を変えてみよう。たとえば、「習慣」や「見方」をちょっとだけ変えてみる。それだけで毎日が伸びやかになっていく。

現代人はいつも人間関係に悩み、ストレスを抱えて生きている。そのせいなのか、みんな日常から逃げるように非日常を求めて旅に出る。現実から逃れ、心の疲れをリセットしたいのだろう。

あなたにも思い当たる節があるのではないか?。

しかしよく考えてみてほしい。1度リセットしても、いつもの生活に戻ればまたストレスが溜まる。そして再び、「非日常」を求めて旅に出る。この堂々巡りをずっと続けていくのは、少々難儀だと思うのだ。

あなたに必要なのは、非日常という「処方箋」ではない。どんな現実も受け入れ、人生を楽しく過ごすための方法こそ、今のあなたには必要なのだ。

その方法を身につけるためのヒントが本書に詰まっている。「禅」の力を借りて、あなたに「生きる知恵」を教えてくれている。毎日1つでいい、実践してみてほしい。

あなたの探している「答え」が、きっと見つかる。

SF民俗学漫画!『ランド』作者 山下 和美(講談社、2015/4/23)

先日紹介した『約束のネバーランド』は塀に囲まれ、『進撃の巨人』は壁に囲まれ、そして、今回紹介する『ランド』は山に囲まれた世界での物語である。

『ランド』では山の向こうはあの世と言われていて、一度行くと戻っては来れない。また、人は50歳の日には亡くなりあの世へと搬送されると言うルールがある。ある日、主人公の杏はあの世とこの世を行き来している少年に対して興味を持つ。山の向こうにはいったい何があるのか。

また、他の設定として四方の山の前には四ツ神様と言う神がいる。神様は24時間監視をしていて、夜に外を出歩くと殺されると言う。しかし我々が見ると誰かが意図的に配置しているようにしか見えない、この世界は第三者によって設計された実験的な世界、いわゆる箱庭なのであろう。また、一巻の最後では杏は山の向こうに大きなビルが立ち並ぶのを目撃してしまう。

最新巻ではあの世の世界の存在も明らかにはなって来ているが、『ランド』世界の真相は全く解明されていない。『ランド』の中の人々も平和に暮らしているので、この世界から逃げ出そうとは誰も思わないだろう。物語はどちらの方向に進むのだろうか。そして、この気持ちは現実世界を生きる我々にも通じることがあるのだと感じる。日々の生活に疑いを持ったり、もたなかったりしながら、しかし、真相を掴むことは出来ずに日々を生きている。今後の『ランド』の展開が楽しみである。
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