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HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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何回見ても飽きないジブリ作品。その秘密とは!?『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』著者 川上量生(NHK出版新書)

となりのトトロ」はこれまで(2017年1月現在)、15回の再放送が行われているが、いまだに根強く人気がある。15回目でも14.2%の視聴率があった。一体ジブリにはどんな秘密があるのだろうか。ドワンゴの会長の川上氏が、ジブリのプロデューサーである鈴木氏の付き人をしていた時代に考えたことを書いたのがこの一冊である。

 「情報量が多いアニメは何回見ても飽きない。」鈴木氏はジブリの視聴率の秘密に対してこう語った。ここで言う、情報量とは絵の細かさである。ジブリの絵は圧倒的な絵の細かさを誇っているため飽きが来ないという。しかしもしそうなら、実写のほうが飽きないのではないか。ここからが、宮崎駿のすごいところである。宮崎駿の絵は、「主観的情報量」が多くなっている。「宮さんはね、好きなものを大きく描くんだよ。宮さんは飛行機が好きだから、宮さんの描く飛行機は現実にある飛行機よりも大きくなる」と鈴木氏はいう。 実際人間は好きなものを見ると脳はそれを大きなものと感じ、意識していないものは小さくなる。これが「主観的情報」である。宮崎駿は実写では表せない、主観での絵、脳が補正した後の絵を書いているのだ。“「主観的情報量」の多い絵は脳を心地よくする”、それがジブリ作品が飽きない理由の1つである。簡単に言えば、大きなふわふわで、柔らかそうなトトロを見ると脳は気持ちよくなるということだ。

 また、宮崎駿は1本の映画を連載作品のように作り上げる。ストーリーが完成していない段階で、絵コンテを書き、映画を作り始める。映画を作っているスタッフ誰もが結末を知らない。否、宮崎駿自身も結末はわからない。ゆっくりとした流れで始まるジブリ作品だが、後半ではすごいスピード度で話が展開し(まとめるため)、ストーリーがよくわからないこともある。しかし、ジブリは飽きが来ない。ストーリーを楽しむために見る映画では、 ストーリーが分かってしまった後はつまらなくなってしまう。ジブリ作品は、世界観に重点を置くことで、結果的に飽きが来なくなっていたのだ。宮崎駿さえ理解していない世界観を理解することは視聴者にはできず、理解できないものには飽きが来ないという仕組みだ。

 これまで、ジブリ作品はストーリーがよくないのになぜ面白いのかが不思議であった。この本を読むことによって、論理的にジブリの秘密について解釈することができた。ジブリが好きな人、人気なコンテンツの仕組みに興味がある人に非常におすすめの一冊である。